お墓について
お墓の法律
墓埋法
墓の法律の中心となるのは、「墓地・埋葬等に関する法律」、通称「墓埋法」です。この法律では、お墓のことは「墳墓」と言い、「墓地」「納骨堂」「火葬場」の開設は、都道府県知事の許可が条件として示されています。
また、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」と書かれており、自分の土地や家の庭であっても、お墓をつくり埋めることは禁止されていることがわかります。火葬も火葬場以外ではできず、いまでは、いわゆる「野焼き」は禁止されているのです。骨壺を自宅に長期に保管することは、「埋蔵」ではないため、違法にはなりません。
土葬については、墓埋法では禁止されていませんが、都道府県が条例で墓地の許可条件に「焼骨の埋蔵に限る」とすれば、土葬はできないことになります。土葬が残っている地域は、条例にこの規定がないか、特殊な例外かと思われます。
散骨も墓埋法ほか法律上に規定がないため、他人に迷惑がかからない限り容認されていますが、土葬は禁止されていない都道府県でも、火葬率99%以上の日本の現状では、散骨以上にいまでは困難かもしれません。
この他、墓埋法では、24時間内の埋葬・火葬の禁止、埋葬・火葬・改葬の許可と許可証の交付、そして、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長がこれを行わなければならない」といったことが書かれています。詳しくは、こちらで全文が読めます。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO048.html
なお、各種許可証の実際の交付業務は、市町村の役所・役場が窓口となっています。
お墓の継承
お墓を継承することは「承継」といいますが、これについては、「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する」と民法897条に規定されています。ほかの財産のように分割相続はできず、祭祀継承者は1人、通常は長男に限られます。
ただし、「被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者がこれを承継する」条項もあります。また、「慣習が明らかでないときは、前項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める」ともしています。
その他の法律
お墓の法律知識で、他に知っておきたいことは税金に関することでしょう。お墓や仏壇には、相続税がかかりません。相続税法12条に「次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。」として、「墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」として、いわゆる祭祀財産があげられています。
また、お墓を買う場合は、相続税に限らず一切非課税です。通常は、不動産を取得した場合は不動産取得税が、土地を持っていると固定資産税・都市計画税がかかります。しかし、お墓の場合、「永代使用権」という権利を買っているため、それらに該当しないのです。ただし、「永代使用料」に消費税はかからないものの、墓石や工事費にはかかります。
最後に、刑法に関連することにも触れておきましょう。お墓の発掘や遺骨などの遺棄・損壊は、当然罰せられますが、「神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する」「説教、礼拝又は葬式を妨害した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する」(刑法188条)とあり、お墓やお葬式は、敬うべき場所・行為として守られていることがわかります。